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HappyEverAfter

花沢類x牧野つくし

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Happy Ever After 7
happyeverafter07

7.

大学が夏休みに突入すると、さっそく空いた時間に家庭教師のバイトを入れることにした。

『NYの道明寺に会いに行く!!』

心の中でそう決めて、密かに道明寺のびっくりする顔を想像しながら過ごした。

そう計画してみると、色んな事に身が入り、夏休みのカレンダーは書き込みでいっぱいになっていく。


バスケもそうで、計画的に進めた。
練習日には強引に類を誘い、早めに行って、みんなが来るまで自主練習。
体育館に二人きりでとても静か。
ボールの音が大きく響いて驚いたのにもすぐ慣れた。
柔軟体操から始め軽いアップ、参考本に載ってたメニューを押し付けて、厳しいけれど元気に明るく、そう!デキるマネージャーらしく声を張り上げる。

もっと強くなってもらいたいし、もっと練習するべきだから、「ねっ、やろうよ!!」って類を押せ押せで誘った。

また類も、「じゃあ、卵焼きたっぷりね。」とか「また、紅茶クッキー焼いて。」とか言いつつ、懲りずに来てくれて。


しかし、あの万年寝太郎が、、、キャラが変わってきた?

類が、あの類がよ、Tシャツの裾を上に折り返し、腹筋を丸出ししながら、「も少し腹筋割っとくか。」って、指立せ伏せプラス片脚上げ左右してた!?
意外なセリフもさることながら、腹筋間近で見せられて、それが割れてたから、目のやり場に困った。
「へえ~やるねえ~」なんてとんちんかんに言ってしまったじゃない。

F4にマッチョ・キャラは許される?
ましてや、類だよ。
類の汗にもようやく慣れたと思ったら、腹筋見せられドギマギする。
「人のことなんてどうでも。」って言ってた冷めた男(ヤツ)だったのに、実は類もこういう体育会系も似合うじゃん。

借りみたいなもん、感じる必要ないね。
利害の一致 ? ・・・ あははっ、まあ、よかったよかった。

そんな夏休みも終わりに近づいた土曜日の練習日。

「・・・・・79・80・・・・・・・93・94・95っととっ!惜しい!!」

「やべっ。」

「後5回だったのに。」

「・・・もう、シュート練習したい。」

「ダ~メ、今日の目標なんだから。」

「飽きた。」

げんなりした顔でジーっと返事を待つ類。
でも、無言で首を振ったら、あきらめたようにボールに視線を戻す。

「後少しだったじゃん、ハイ、君ならできる!頑張りな!!」

左手ドリブルが何回続くか、100回までやるの!
毎回、目標をたて、コーチ役に没頭するのは楽しくて。
これは愛のムチであって、決していじめてるわけじゃあ・・・。
でもね、結局、できちゃう類の運動神経あってのこと!
だから、調子こいて、「じゃあ、次は150回くらいかな。」って。
やっぱり、私、Sッ気!?いやいや、これも鍛錬を思えばこそよ。


「牧野、厳しい母親になりそ。
スパルタの・・・スパルタン星人。」

「星人・・?何それ?」

「・・・俺も知らないけど。」

「んもう、どうせ可愛くないんでしょ?もういいから。
もっかい始めから行くよ!ハイッ・・・1・2・3・・・・・・」

類はフッと目を細め、再び、左手ドリブル開始する。
達成したら、ホッとした表情でフリースローを始めた。
ボール拾いや送り出しをしてるうちに、一人・二人とクラブ・メンバーが集まりだす。


「おっ、類くん、つくしちゃん、今日もやってるの?」

「こんにちは~、はい、お先にやってま~す!」

声をかけてきたのはキャプテンの岩波さん、大学生の笹本君の姿も見える。

「類、じゃあ、あたし外出るね。」

「おう。」

その時、類が放ったボールが大きな弧を描きゴールにスポッと音をたて入った。


ナイッシュ♪。。。類。
背を向けながら囁いた。

ボールを拾い、そのまま1on1ルーズボール取りに移行させる岩波さんと笹本君。
にわかに音の数が複数に増え、いつもの練習が始まる感じで、私はマネージャーの仕事をすることにする。

スコアノート整理をするためベンチに腰かけたら、上沼さんの姿が視界に入った。
大学生くらいの女の子二人と立ち話中で、丁寧に対応してる感じが、いつも女の子達に素っ気無い上沼さんにはめずらしいと思った。
もしかして、どっちかが彼女さんなのかな?

練習が始まっても、その女の子二人は観覧席に残っていて、時折、私と目が合った。
恋人・家族・子供達に混じり、女の子グループが練習を見にくることはめずらしくない、けれど、なぜか気になって見上げるときまって視線が合った。


あの日、怪我をして悔しそうにしていた上沼さんの横顔は、『この人、本当にバスケが好きなんだな。』って印象で、間違いなく社会人バスケのイメージがUPしたと思う。
好きな事を続けるために努力して、そうやってonとoffを切り替えながら仕事するのって、とても大人に感じた。

そんな上沼さんが選ぶ女性ってどんな人なんだろ?・・・野次馬根性か。

練習は、コーチがステップ練習重視なので、ランニング・体操、そして、ステップ・バリエーションから始める。
それから、シュート練習、フォーメーション練習、試合形式の練習。
門脇さんと上沼さんの速攻になると、息ピッタリで勢いが出てくるし、脚の長い類がギャロップ・ステップでガードしてるのなんか見ると、思わず声も出る。
そうなってくると、3時間余りの練習もあっという間のことだ。

優紀が休みなので、一人で集金やら後片付けをやり終え、事務所近くの階段脇を通りすぎようとすると、あの三人と出くわした。
ぺこりと頭を下げて通り過ぎようとしたのに・・・。


「つくしちゃん、今、少しいい?」

「え?」

上沼さんに呼ばれ、三人の前に近づく。
セミロングにシルバーのイヤリングが耳元で揺れる普通っぽい女の子と永作博美似のポニーテールの女の子。

「今はつくしちゃんがいるから足りてると思うけど、なんか手伝いが必要な時に使ってやってくれる?」

「は?え?」

どういうことかわからず、ポカンと口を開けたままでいると。

「お兄ちゃん、それじゃあ話が見えないでしょ。
あいかわらず、女の子と喋るの下手だなあ~。」

上沼さんは頭を掻きながら、照れくさそうに肩をすぼめる。

「マネージャーの牧野さんですよね?
こんにちは、いつも兄がお世話になっています。」

そういって頭を下げたのはセミロングの女の子。

「妹さん?」

「そう、こいつは妹。
いつまでも俺にくっついて、この歳でウザイだろ?
早く彼氏作れって言ってやるんだけど・・ぉ・っっぐ。」

バシッ!
すると、思いがけず妹さんが上沼さんの肩を平手打ちする音が響く。

「久々でしょうが・・・こうやって見に来るのは~。」

元気な妹さんはクルリとこちらに向き直って続けた。

「あの、松岡さんの古くからのお友達なんですよね?お二人がお友達だって、兄から聞いてます。
厚かましいお願いなんですが、応援要員としてこの娘も、お仲間に入れてやってくださいませんか?」

妹さんは永作博美似の女の子を肘で小突き、「ホラ!」と合図のように小さく言った。

「はじめまして、私、神崎友里と申します。
Spanky’sのファンなんです。」

鈴の鳴るような声とはこのこと?
透き通るような声質だと思った。

「お手伝いさせていただけませんか?」

揃って三人から頭を下げられるような形になって、どうにもこうにも、返事に困る。

「あ・あの~、まあ、優紀も実習で忙しいことですから、手伝っていただけると有り難いかもしれません。」

優紀に相談もせず、勝手にそう言っちゃったけどよかったのかな?

つづく

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